グリズリー・プラネット

グリズリー・プラネット [DVD]

グリズリー・プラネット [DVD]

【時間】約88分
【監督】ポール・リンチ
【制作年】2006年
【ジャンル】(欲や環境汚染で)穢れた未来世界での熊アクション
 
◆勝手な5段階評価◆
【B級度】2
【ネタ度】2
【ツッコミ度】4
【オススメ度】2
【理解不能度】2
 
【注意】ネタバレ含みます
 
 「怪物が襲ってくるタイプのパニックB級映画をみてーなー」と思って適当に探していたら引っかかった作品。
 人を襲うものとしては定番ながら、怪物が襲ってくるタイプの題材にどちらかと言えば使われない熊をわざわざ利用しているあたりに、何となく惹かれてしまった。良い意味でも悪い意味でも。
 
 どうでもいい話ですが、登山の際に気をつけるべき対象は、熊より人間だそうです。何故かっていえば、人間の方が犯罪で恐いからなそうな。
 
 更にどうでもいい話ですが、かの有名な『巨人の星』において「奥多摩といえど、東京都内に熊なんているもんか!」と言った内容のセリフが出てきますが、ツキノワグマが東京都にも出没するそうです。奥多摩に行く際はぜひとも気を付けてください。
 
 では、本編解説。
 
 
 
 冒頭、惑星「酸素(オキシジェン)」という場所を歩く5人。目的は資源と利権の確保だそうです。なんで最初からそんなに的確な情報がわかるかと言いますと、親切にも字幕で解説が入ったからです。
 
 で、気が付くと、何故か歩いているのは二人になります。
 そこで意味不明なことが発生。普通、草を切り払いながら進むなら、先頭を歩く人がやりそうなものですが、何故か後ろを歩く女が鉈で草を切ってます。
 ろくに前も見ず鉈を振り回す女、危ない! 危ないよ〜、とヒヤヒヤしてると、やっぱりやっちゃった。前の人の腕をスッパリ切り落とします。初っぱなからなんと無茶な展開。
 腕を切り落とされた人は穴に落ちます。そして、落ちた先で気持ち悪い黄緑色の液に傷口が触れます。するとあら不思議、腕が生えてきました。このために腕を切ったんですねえ。気付きませんでした。
 しかし、それに驚いていると、穴の奥からさっそく熊登場。襲われてしまいました。
 
 ところ変わって、未来の地球です。
 未来の地球は何やら色々とヤバイらしく、アフリカが全面隔離されたり、メキシコはガスマスクなしで歩けなかったり。印パ核戦争で10億人死んだり、次々と悪いニュースが聞こえます。
 ちなみに、2058年という設定みたいです。
 
 で、そんな内容のラジオを聞いていた主人公の男。名前はランドール・ケインというそうですが、この後、隊長やるので『隊長』と呼びます。
 会社に出向き、そこで会議が始まります。恐らく、その場で一番偉いであろう男が世界観をべらべら解説しながら、会議が進みます。
 ま、早い話が、地球はヤバイんで、宇宙で暮らせる場所を見つければ大儲けだぜ! って内容です。
 
 その結果、オキシジェンという惑星が注目されたが、めちゃ遠いので、NASAは無視。しかし、この会社で改良した転送装置によって、移動すればオキシジェンを利用できるとの話です。
 一個の会社でそんなのできるなら、とっくに国が手を出をだしとるわい! と、言ってやりたいが、まあ無視します。
 事前調査の結果、オキシジェンは地球に似た環境で、動物は兎程度の小動物しかいないので安全だという話です。思いっ切り嘘ですね。
 
 で、出発となります。その前に、転送装置についての解説を兼ねた内容が展開されるが、面倒なので省略。
 一人目が転送され、無事転送されたとのことを報告。残りも次々と転送されてきます。 
 しかし、問題発生。どうやら装置に負荷がかかりすぎたらしく、装置が破損。最後に転送された人が死にます。なんですか、そのいい加減な管理は? 人命かかってるんですよ?
 
 まあ、シナリオ上、すぐに帰れるという環境を無くすためでしょう。
 故障した装置は直せず、帰るために必要な『ハブ』は間違った場所に転送され、すぐには手に入らないという展開です。
 
 さて、ここからの展開が分かり難くなるので、転送された人物の紹介を。
 転送されたのは男6人、女3人。名前はイマイチわかりません。立場を開設すると、社長らしい男のカールソン、グレッチェンという医者の女、機械担当の男の名はダンカン、主人公のケインは戦闘要員の隊長、証人で弁護士のメイソンという男、撮影担当っぽい女、社長の妻アリソン、その他は恐らく戦闘要員の男達。
 
 さて、ここで疑問。
 どうせこの惑星に巨大な熊がいるのですが、そのことを知らないはずの人間が何故武器を持っているのでしょう? 戦闘要員は何のために必要だったのでしょう? 中には熊の存在を知って黙ってる人もいるのでしょうが、知らない人たちは銃を持っていくことに対して不信に思わないのでしょうか? 下手したら、仲間割れで銃撃戦の危機ですよね。
 そして、地球に似た環境とはいえ、サバイバル生活を余儀なくされる環境とわかっていながら、弁護士とかをわざわざ連れてくる余裕はどこから生まれたのでしょう? しかも、明らかに運動が苦手に見える弁護士に、もっとも重そうな荷物を押しつける辺り、謎です。
 
 そうこうしているうちに、さっそく熊の襲来です。どうやら、転送の際に死んで、放置された死体がなくなってます。
 さらに、小熊の死体を発見。他の動物に殺されているようです……と、言いますが、ちょっと待ってください。よくよく映像を見てください(見れない方は心の目で)、この熊、寝てるだけで鼻の辺りがピクピク動いてますよ! そいつ死んでないからね。
 
 そんなこと無視して、突然あたりは夜に。熊はやっぱり死んでるらしく、死体についての医者が調査が行われます。
 ウルスス・スぺラエウスという洞窟熊で地球で1万年前に絶滅した熊らしいです。
 何故、他の惑星に地球の熊と同種のものが? と思いましたが、恐らくそんなことは解説されないんだろうなあ。実際されなかったし。
 この熊は、足が速く、持久力もあり、頭も良いとのことです。
 
 テントで男女4人が会議。
 隊長さんが熊の危険性を考慮し、計画をやめようと言い出します。それに対し、一人の女は「賛成。食物連鎖の底辺はごめんだ」とのこと。食物連鎖の意味をわかってるのでしょうか?
 更に、会議の中の会話で、酸素を作り出す植物を探していたことが明らかに。え? 住める惑星であるかの最終調査とか、そんなとこじゃないんですか? しかも、酸素を地作り出す植物って、その辺に生えてる緑色の植物じゃあダメなんですか?
 計画の中止に4人とも賛成したところで、社長さんが無理に計画続行を指示します。明らかにこの作品の悪役はこいつって雰囲気です。
 
 社長さんは、撮影を行っていた女に対し、極秘でハブを手に入れるよう指示します。どうやら、ハブを先に手に入れ、計画中止を阻止しようという魂胆です。
 更に、機械担当の人も何やら怪しい雰囲気。修理できる機械をわざと修理していないとかなんとか。裏で社長と通じてるっぽいです。
 さて、早朝と思わしきまだ暗い時刻なか、社長の指示を受けて女性が森を歩いています。なんと勇敢な女性でしょうか。しかし、おきまりのパターンで、熊に襲われます。拳銃で応戦しますが効果なし。
 頭を熊にひっぱたかれると、首から上が掻き消えます。なんちゅうパワーだ。
 しかし、顔は潰れることなく、綺麗なまま生首が転がるという怪現象。しかも、その生首が隊長達のテントまで転がってくるという二重の怪現象。これに対して「何という……」という反応をする一同ですが、それはこちらが言いたいです。
 
 で、日が昇って、突然の地震が発生。どうやら、地殻変動が発生しているようで、数時間から数日で惑星が滅ぶそうです。何というメチャクチャな設定だよ。
 そんな中、機械担当が1人で逃亡。こんな危険な場所で1人の行動とは、こいつもなかなかにガッツがあります。荷物もハブの回路基板も持ち去ったそうです。
 
 仕方なく、機械担当を捜すことになります。弁護士に社長、社長の妻、隊長の4人が谷へ、残りの医者と戦闘要員達の計3人が断崖へと調査に向かいます。脱走した機械屋さんを探すだけなら戦力分ける必要なんてないのにね。熊に襲われるためでしょうか。
 
 4人組でもっとも重そうなものを背負わされているのがやはり昨日と同じで弁護士。「休みたい」と言うが「時間がない」とか「急げ、足手まといだ」とかいって、周囲の対応は冷たいです。せめて荷物を持ってあげましょうよ。
 とうとう、もうダメだと言って、座り込んじゃいました。この手の置いていかれる展開は死亡フラグか……と、思ったら、社長妻が弁護士に近づき、気遣います。
 死亡フラグ解消か? と、思ったが、呼び戻される社長妻。再び弁護士さんは一人に。
 すると、林近くの草原にいる熊の映像が流れ、何故か、弁護士の立っている背景も草原になり、あっけなく弁護士死亡。わざわざ弁護士が死んだことだけを隊長と社長妻が確認し、別行動の3人にも単独行動は危険だと通報します。
 
 社長のグループが森を出て、歩いていると、機械担当の足跡が見つかります。どうやら、この足跡から、相当疲れていると読み取った隊長さんは……社長妻が歩き通しで疲れたと言うので、今日はここで野宿とします。何でその判断になるかな?
 
 で、社長は気付けば離れて、隊長と社長妻の二人となります。
 そこに熊が2匹登場。あからさまな合成です。社長も戻ってきますが来ますが、2人を見捨てて逃亡します。単独行動は危険と言われたばかりなのに。
 直後、何故か画面が暗くなり、元に戻ると逃げる熊。しかも、熊と一緒に合成されてた木も消えて見晴らしがよくなってます。意味わかりません。
 さらに、再びの地震発生。ケインは頭を打って、気を失います。そこで、別行動部隊に連絡して、救援に来てもらいます。
 
 他の部隊と合流し、洞窟で一休みします。歩き疲れて、野宿すると言っていたのに、社長妻は余裕で動き回れるようです。
 しかし、洞窟で休んでいいのでしょうか、敵は洞窟熊ですよ?
 隊長は無事に目を覚まします。何か「描写が面倒なんで別行動にしといた人達と合流する口実のために頭を打った」って感じです。
 ちなみに、社長さんは逃亡後、戻ってきません。
 
 洞窟の奥を調べると、人骨を発見します。どうやら、先に惑星を調査しに来た人のようです。
 洞窟の奥にいると、外から熊の声が聞こえます。どうやら狙われてる様子。急いで脱出します。
 
 そとに出ると、またまた地震発生。急いでハブを捜すことになります。機械で位置を調べると、距離は洞窟から2km程度。すぐにでも辿り着けそうです。
 
 しかし、崖が現われます。というか、現われたらしいです。あまりに傾斜角が浅いんで、どこに崖があるのか理解するのに苦労しました。
 その崖に対して、異常なまでに慎重に降りようとする御一行。ロープを使い、妙な隊列で斜面を下ります。
 その結果、こけてゴロゴロ落下。医者が重傷を負います。内蔵を痛め、口からは血を吹きます。これは死んだかな? と思いましたが丈夫な方です。まだまだ生きてます。流石は医者です。
 
 日が暮れて、仕方なく、野宿をすることになりますが、医者がテントにいるときに熊に襲われます。熊に連れ去られますが、やたらと悲鳴を上げてます。やっぱ丈夫だ。
 医者と仲良くしてた戦闘員の1人が周囲の制止を振り切り、勝手に助けに向かいます。なんとわかりやすい、死亡フラグ
 一気に翌日になってました。どうやったのか、医者を発見。下半身を埋められてまだ息をしています。で、持ち上げてみるとビックリ、下半身がありません。どうやって今まで生きていたのでしょうか? 超人的な丈夫さです。
 しかし、どうやら死んだと判断した男。そこで熊と遭遇。なんと武器はナイフ一本! なんと勇敢な男でしょう。ま、勇気だけなので即座に殺されてしまいます。
 
 それにしても、熊を上手く映像に入れるのが難しかったためか、熊との戦闘シーンは、遠くからの合成か、熊と人間単体の映像か、アップにして熊がただの毛の塊に見える映像ばかりです。その影響で不自然な映像が連発してます。しかも、使い回しっぽいのが多いです。
 まあ、最初から「どうやって熊との闘いを映像化するんだろ? 金かけないと迫力あるのは無理だろ」って思ってたので、予想通りなんですが。
 
 キャンプをやめ、山を進む残り3人。ちなみに、集団で生き残ってるのは、社長の妻、隊長、戦闘員の1人です。
 と、ここで最初に姿をくらました機械担当が登場。武器もないのに何故かまだ生きてます。化け物か?
 そんなことは気にせず、3人はこいつにハブの場所へと案内させます。
 で、途中、戦闘員が一人ねんざ。死亡フラグか? と、思ったら即座に熊が登場。しかし、ここはなんとか熊を倒して切り抜けます。
 このシーンでも、林の中に現われたはずの熊が、何故か林のそとで走っている辺りの謎がありますが。まあ、これもさっきまで使ってた熊の映像を使い回してるっぽいので、仕方ない。
 
 で、突如キレた隊長が機械担当から真の目的を聞き出します。マジで、なんでキレたのか理解に苦しみます。そろそろ目的を出さないと映画が終わるからでしょうかね?
 ダンカンの語る真の目的とは、5年前の調査隊が発見した人間の腕が再生する液体です。冒頭ででてきた気持ち悪い黄緑の液です。
 単独行動中の社長はこれにヴィタ・セーラと名付けたそうです。これを使えば、2058年の地球環境問題が一気に解消できるそうな。
 こいつを入手することが真の目的で、移住計画とか植物採集とかはそれを隠すための言い訳だったそうな。
 
 しかし、だとすれば最初から真実を明かして調査すればいいじゃないですか。なんで、そうしないんですかね? ああ、シナリオを盛り上げるためか。
 
 ま、いいや。一行はハブを捜して進みます。
 しかし、どうやらハブやその他の物資は悪役社長に持ち去られたそうです。
 で、脚をねんざしてた人が、熊に襲撃され、あっさり殺されてしまいました。多分、もうこの人を映画に出すのが面倒になったんでしょうね。
 残った社長の妻、隊長、機械担当の3人は先を急ぎます。
 
 ハブを発見した3人。どうやら、ハブというのは転送装置そのもののことらしく、転送装置が丸ごと置いてありました。
 しかし、近くに熊がいます。隊長が囮になって、残り2人が装置を使う作戦になりました。
 人間の脚で熊の囮が務められると思えませんが、まあ、無視します。
 転送装置に2人は近づきますが、どうやら基板が抜き取られ、使い物にならなくなっているようです。
 
 一転して、囮になった主人公の方。熊をなんとか銃殺しますが、弾丸がなくなったのか、銃を捨てます。
 
 再び切り替わりこんどは社長登場。まだこの惑星に残っているのだから、てっきりヴィタ・セーラとかいう黄緑の液を探しているのかと思ったら、何故か既に確保してます。じゃあ帰れよ。
 まあ、残りの人達を口封じのために殺そうと思ってるのかなと、好意的に解釈してみますが、社長妻や機械担当と出会うと「まだ生きてたのか!」という反応です。殺す気があったならそのくらい把握しろよ!
 社長から2人が基盤を回収しますが、改造されて使い物になりません。
 そこに隊長も登場。社長を脅してから大本の基盤の場所を聞き出します。
 それにしても、本当に社長が地球に帰らない意味がわかりません。せいぜい、証人となってしまう自分以外の人間を殺すことが目的だと思いますが、それならもっと利口なやり方があるでしょう。銃殺とか。
 
 あっ、そう思ってたら大本の基盤を隠したという洞窟で銃撃戦です。じゃあ、最初からやれよな!
 そして、熊さん登場。社長も機械屋さんも殺されます。
 基盤を取り戻し、社長妻が先に転送装置で戻り、隊長はその間マシンガンで応戦。でも熊は全然倒れず、隊長は片足に食いつかれもがれます。
 しかし、何故か熊はそれで満足し、首を振って楽しそうです。そんなわけで、隊長もなんとか地球へ戻りました。
 
 で、どさくさに紛れて持ち帰ったヴィタ・セーラを使って、隊長さんは脚を再生。社長妻と主人公は2人で会社を乗っ取ってビジネス大成功! めでたしめでたし!
 
 
 
 まあ、超低予算のB級映画ではありませんが、ツッコミどころが多いです。そして、熊との戦闘がどうにも安っぽい。
 最後に生還したのが主人公とヒロインだけというのは、この手のモンスターパニックものではよくある気がします。少なくとも、今まで自分が見た映画ではかなりの数がこのパターン。どれもB級だけど。
 まあ、テレビで放送できるレベルではあると思いますが、あまり視聴率を集めるような時間帯には放送できないかと思いますね。