変態村(原題:Calvaire)
- 出版社/メーカー: キングレコード
- 発売日: 2006/10/04
- メディア: DVD
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【監督】ファブリス・ドゥ・ヴェルツ
【製作年】2004年
【ジャンル】変態被害を仮体験できる作品
◆勝手な5段階評価◆
【B級度】2
【ネタ度】2
【ツッコミ度】2
【オススメ度】2
【理解不能度】1
タイトルからしてもの凄い。恐怖の変態映画だ。
何が恐ろしいかって言えば、明るい映像でありながら恐怖を煽る内容が登場するところが凄く恐ろしい。ホラーといったら暗い映像で恐怖を煽るものが普通だが、この作品の恐怖には比較的明るい場面でも凄みがある。
ホラーものとしては、得体のしれないモノの恐怖と言うよりは、危険人物による恐怖系作品だ。この作品は、中でも人間の持つ異常性を利用し、非常な不気味さを出しているあたりが正に『変態』である。
そんなわけで、この映画を観ていると「もうやめてくれ」って気持ちになる。主人公の悲惨さや、その周囲で狂った雰囲気を醸し出す変態達は観ている者の精神を酷く抉ってくる。
この先ネタバレあり。
◆◆◆
映画は、歌手で芸人のマルクが活動していた場所を変え、次の訪問先へ行く途中、田舎で車を故障させるところで始まる。そこで、犬を探す怪しい男、ボリスの紹介で宿に泊まることになる。
宿の主人、バルテルはいかにも善良そうで村人に関わらないように忠告してくる。ここまで見ると「好奇心に駆られたマルクは変態村の人々と関わってしまい、悲惨な目にあう」というシナリオを想像するところだが、村だけでなく、宿の主人も変態であったというオチ。ちなみに、DVDの宣伝だけ見ると、まさにこの罠に引っ掛かることに。
しかし、まだこの時点ではバルテルはまともな人間っぽい。芸人仲間ということで、仲良く夕食を食べ、マルクは宿に泊まってしまった。
でも、何故か翌日になると、バルテルは狂い、マルクを別れた妻と勘違い。ここからが恐怖である。
逃げられないようにするため、車を破壊し、無理やり女の服を着せ、「他の男に狙われるから」という名目で髪の毛を全てそり落とし、ゲイ的な展開に発展。
何より恐ろしいのは、本性を表してからのバルテルの陽気な雰囲気とマルクの悲痛な雰囲気が醸し出す何とも言えない空気。この方向性の恐怖は所謂化け物や幽霊、殺人鬼のホラー作品では滅多に見られないだろう。
腕を縛られた状態で外に連れ出されたマルクは隙をついて逃亡するが、罠にかかって動けなくなる。
そこをボリスに見つかってしまい、更に状況悪化。ボリスとバルテルの変人二人に囲まれての壮絶なクリスマスパーティーへと発展する。このシーンのイカレ具合は特に凄まじい。
そこへ村人がやって来る。ボリスは銃撃を受けたのか倒れて助けを求め、バルテルは銃を持って外へと向かうが、結局村人も家の中に入り、混乱状態へ。どうやら、村人もマルクをバルテルの妻と勘違いしている様子。
その隙にマルクは家を脱出、村人はブタを使ってその後を追跡し始めた。
どこで時間が経過したのか、クリスマスパーティー中は夜だと思っていたらいつの間にか日が昇っている。
川を抜け、沼を抜け、林を抜け、気付けば追跡に来ていた村人は減り、バルテル一人に。あと少しで追いつかれそうになるが、バルテルは底なし沼に嵌まる。
最後までマルクを妻と勘違いし、バルテルは沈んでしまい、物語は終わる。結局、なんでこの村の住民が狂っているのかも、マルクがその後どうなったのかも分からず、不気味な雰囲気を残していきました。
◆◆◆
全体としてしっかりまとまっており、そのため、ツッコミを入れて楽しむような場面は少ないが(ある意味、変態村というタイトルや、変態の存在は突っ込みどころだが)興味があれば一度見てもいいだろう。
そういや、原題はゴルゴダの丘という意味らしい。作中で磔になっているシーンがあるし、DVDのジャケットも磔だし、確かにそんな感じもしなくもないか。