メガ・シャークVSジャイアント・オクトパス(原題:MEGA SHARK VS GIANT OCTOPUS)

メガ・シャークVSジャイアント・オクトパス [DVD]

メガ・シャークVSジャイアント・オクトパス [DVD]

【時間】約89分
【監督】エース・ハンナ
【製作年】2009年
【ジャンル】「ジャイアント」で「メガ」な極大モンスターパニック映画
 
◆勝手な5段階評価◆
【B級度】4
【ネタ度】4
【ツッコミ度】3
【オススメ度】3
【理解不能度】4
 
 とにかくでかい
 巨大な生物が暴れる映画では、映画の宣伝と作中で登場する生物のサイズに詐欺と言えるほどの差があるものだが、この映画の巨大生物はマジででかい。蛸が戦闘機をはたき落としたり、旅客機をサメが跳ねて食べたりと、異常すぎる大きさである。
 そして、B級映画ではよくある怪しげな科学の知識も期待を裏切らず登場する。そういった面を考えればB級映画としては良くできた方だろう。
 ただ、残念なのは単に巨大な生物が出て来るだけという所。怪しげな科学知識も生物が異様に巨大であることに関するものを除くとイマイチ冴えてないし、シナリオも無難になってしまっている。ついでに言えば、巨大な生物が海の中を泳ぎまわっていても、周囲とのサイズの比較が難しいので人工物が登場するシーンでない限り巨大生物特有の面白さもイマイチだ。
 しかし、作品の出来が非常に悪いというわけでもないので、このレベルならば昼のB級映画放送時間に垂れ流せるだろう……と、思っていたら、本当に放送されていました。
 
 では、ここから詳細な解説。
 
 ◆◆◆
  
 アラスカ沖で米軍が新型ソナーの実験を行っていたら、ソナーの影響で近くの鯨が暴走して、海岸近くにある氷山へ大量に激突。近くで鯨の調査を行っていた科学者の女、エマは、鯨によって崩れた氷山の中にある二匹の巨大生物を目撃した! ……と、言った雰囲気で物語が始まるのですが、エマはこの際に目撃した生物についてこの場では追求しませんでした。
 
 そうこうしているうちに、日本の海洋採掘所が巨大生物に襲われたり、海岸に打ち上げられた鯨の遺体からは巨大な歯の欠片が発見される。
 更には、飛行機の中に「明後日結婚式なんだ」とかいう死亡フラグ持ちの人が居たためか、巨大なサメがピョーンと跳ねて、飛行機が食べられるという事件が発生
 これだけの事件が起こったならば、あっという間に巨大生物のことが知られても良いと思うのだが、何故か巨大生物の存在は世間に知られません
 
 一方、序盤で氷山の中の生物を見かけたエマは、鯨から発見された歯の欠片をサンダース教授に解析してもらう。結果は10×11フィートの巨大な歯の一部であると言われる。
 このサイズに対し「まさか恐竜だと言うのか!」とか言って驚いていますが、歯一本のサイズが3メートル以上っていうのは恐竜としてもにおかしいと思います。
 しかもサンダース教授とエマは「奴はメガロドンの生き残りだ!」という結論に達してしまう。明らかにサイズがメガロドンじゃないんですけど……。
 
 歯の検証を行っていると、海洋関係の研究者である島田博士から連絡が入る。
 島田博士いわく、巨大生物の話が表面に出てこない理由は「一般人がパニックを起こすから」らしい。海からは基本的に離れられない生物なんですから、被害を食い止めるためにも一般人に事実を知らせると思いますけどね。
 ついでに、島田博士の報告で、日本の海洋採掘所の生き残りからの情報により、メガロドンだけでなく蛸のような巨大生物もいることが判明します。
 
 科学者3人組とは関係なく政府は巨大生物の情報を知っているので、早速メガロドン(?)と駆逐艦の闘いを行いました。まあ、あっという間に駆逐艦が敗北しますが。
 ちなみに、このサメの速度は時速900kmを超すことができます。サイズが数百メートルなので、明らかに周囲に与える影響がヤバイです。映像的には何故か海面に一切の影響を与えていませんでしたが
 
 科学者3人は何故か米軍に連れて行かれます。理由は「必要だったから」。何故この3人が必要だったのかは完璧に意味不明だったりする。この世界のアメリカ政府は馬鹿ばかりなのだろうか?
 そして、科学者3人を作戦に参加させてしまったため「やつら二匹を活きたまま捕獲する」という意味不明な作戦を行うことになってしまいました。「今世紀最大の発見だから」とか言ってますが、体長数百メートルで動きの素早い生物をどうやって捕獲するのかは謎です。そもそも、捕らえた後にどうやって飼い慣らすのかも謎です。
 色々と謎ですが、科学者3人は海軍航空基地で怪しい薬品(?)の調合を行い、研究を始めます。
 海洋の研究家である三人が、何故自らの手で薬品の調合を行うのか、そもそも、その薬品が何のためのものなのかは謎です。途中から、エマの提案でサメと蛸を誘き寄せるためにフェロモンを作ることになるのですが、それまでは何の調合をやっていたのか最後まで分かりませんでした。
 
 さて「フェロモンをばらまけば生き物なら何でも引き寄せられる」という生物関係の学者らしからぬ乱暴な理論でサメと蛸を誘き寄せて捕獲することになります
 そんな作戦上手くいくのか? と、もっともなことを米軍の方が言ってくれるのだが「奴らは何百万年も氷づけにされていたから異性に飢えている」というやはり生物学者らしからぬ無茶な理論で片付けます
 
 とりあえず、エマとサンダース博士は蛸をサンフランシスコ湾に誘き寄せることになりました。捕獲用の罠の内容は「言えない」。市民への告知は「しなくていい」そうです
 フェロモンをばらまいてみたところ、都合良く蛸出現。特に意味も無く、蛸の映像を撮るために飛行機が接近させられ、撃墜されました。
 そして、捕獲する予定だった相手の蛸に向かって何故かミサイルを発射。結果的に蛸には逃げられました。
 
 その後、ちょっと休憩を挟み、今度はサメと勝負。
 フェロモン入りのカプセルのような物を投下しようとしていたら、何故か潜水艦のアームが故障して失敗。そんなところにサメ登場。潜水艦はなんとか逃げることができましたが、近くで護衛していた軍艦の砲撃は効果無く、軍艦はあっさりかみ砕かれてしまいました。
 ついでに、何故か近くにあったゴールデンゲートブリッジもかみ砕いてサメは消えました。これで何千人か死んだようです
 その頃、別行動をしていた島田は東京湾で蛸と闘った後でした。攻撃したあげく怒らせて暴走させて終わったようです。
 こうして、捕獲作戦はもう無理となりました。まあ、捕獲用の罠の内容が「言えない」だった時点でそんな結論に達すると思っていましたが。
 
 事態を重く見た米軍の人がアメリカのB級映画らしく「核兵器しかない!」と言い出しますが、島田博士は「海の生物に甚大な被害が発生する」と反対。ようやく科学者が科学者らしいまともなことを言い始めた
 結果として、エマによって「怪物は怪物で処分する」という作戦が提案されました。きっとゴジラ映画を見たことがあったんでしょうね。
 こうしてせっかく役立ちそうな知識を出し始めた科学者3人組ですが、米軍の人に新戦略を納得させる過程で再び科学者らしからぬことを言い出すことになってしまいます。もう面倒なので無視するけど。
 
 こうして、メガ・シャークとジャイアント・オクトパスの闘いに突入するのか? と、思ったら、サメと潜水艦の追いかけっこになります。
 サメを狭い場所に誘き寄せるため、わざと潜水艦を追わせているのですが、500ノットで泳ぐサメを相手にどうやって追いつかれないようにしているのかは完全に謎です。
 で、一瞬は後から現れた蛸に助けられ、逃げ切った潜水艦ですが、再び現れたサメに噛みつかれました!
 しかし、主人公であるエマが乗っているのでサメは潜水艦を噛み潰せません。このままではまずいと思ったエマとその仲間は潜水艦から離脱。直後、主人公が居なくなった為か、潜水艦は粉砕されました
 こんな感じのご都合主義敵展開が繰り広げられた後、サメと蛸が闘って、特に変わったこともなく、相打ちになって終わりました。
 
 こうして、無事に生き残った科学者3名は、何故か再び氷づけの生物の調査へと向かいました。
 
 ◆◆◆
 
 モンスターの巨大さは間違いなく巨大モンスターパニック系作品の中でもトップクラスなんだけど、残念なのはそれがアピールできるシーンが少なかったこと。 個人的に好きなシーンはサメが飛行機に飛びかかる所なんだけど、それ以外は巨大であるところをアピールできるようなシーンが少なかった。
 全体としては映像は綺麗なんだけど、シナリオが微妙。ありきたりな感じで、ツッコミを入れて楽しめないこともないけど、そういった楽しみをするにはちょっと物足りない。かといって、当然のことながら優れたシナリオという訳でもない。そんなわけで、全体として微妙なのが残念。
 まあ、微妙でありながらも巨大生物のでかさが売りになるし、映像が貧弱ではなかったので、テレビで放送することは可能なレベルに仕上がっていた。
 ……ちなみに、いかにもアメリカンなモンスターパニックではあるけど、実はシナリオは日本の会社が作った物です。日本人が中心人物に登場したのはその為だろうか?