ダイナソー・ファイター カンフーVS.巨大恐竜(原題:Future War)

ダイナソー・ファイター [DVD]

ダイナソー・ファイター [DVD]

【時間】約82分
【監督】アンソニー・ダブリン
【製作年】1997年
【ジャンル】サイボーグ・ファイター エセカンフーVS.中ぐらい恐竜
 
◆勝手な5段階評価◆
【B級度】5
【ネタ度】3
【ツッコミ度】4
【オススメ度】2
【理解不能度】2
 
【注意】ネタバレ含みます
 
 名前からしてB級っぽい。元のタイトルは『Future War』だったのに、親切な日本人が『ダイナソーファイター カンフーVS.巨大恐竜』というB級映画に相応しい名前をつけた御陰です。
 それに釣られてレンタルしてしまいました。まあ、中古で350円未満で入手することもできたのですが。
 
 見た感想ですが、DVDのジャケットからは想像もできない画質の悪さ。てっきり70年代に作成されたものだと思った。
 それから、ジャケットに書いてある
 『太古のプレデター、LA来襲!!』
 とか、宣伝内容の
 『サイボーグが支配する未来から現代のアメリカに逃げてきた男を抹殺するため狂暴な肉食恐竜が過去から送り込まれ、街はパニックに陥る。人類の未来を守ろうと、男は孤独な戦いを挑む』
 といった内容からは想像もできないほど、素晴らしい安っぽさを発揮してくれました。
 
 さて、それでは本編解説。
 
 
 
 まず、薄暗い建物の中を3人組が進みます。
 普通なら落ちないような穴に落ちそうになったり、そこを渡るために細い足場を使うのはいいが、手摺りになりそうなものを何故か掴まなかったり、僅か開始2分でツッコミたくなる作品内容だ。
 
 3人の内、女性が突然ナレーション開始、どうやら四日前に空から炎と共に、主人公、恐竜、恐竜を従える者が現われたそうです。
 
 建物の奥へ行くと、恐竜が二匹。ティラノサウルスっぽい感じの体型です。ただし、かなり安っぽいです。
 わざとおびき寄せる3人。どうやら、こいつらの目的はこの恐竜。先ほどの穴まで戻り、そこで足止めを喰らった恐竜を銃殺します。
 で、そこで二匹とも倒すのかと思ったら、一匹は仕留めず帰ります。すると、何故かもう一匹は穴を飛び越えて追り、逃げ遅れた一人が犠牲に……
 
 ここでオープニング画面。宇宙船(?)などが登場します。
 どうやら、何らかのトラブルが発生した模様。空からやって来たものとはこれでしょうか? 緊急脱出用っぽいものが宇宙船から離脱します。
 
 そこで、親切な解説文登場。内容はこんな感じ。
 
 『未来ではサイボーグが支配者となり、過去から人類と恐竜を連れ去っていた。恐竜は追跡者(トラッカー)として脱走者対策に教育され、人間は奴隷となっていた。しかし、一人の奴隷が脱出し、天国と呼ばれる惑星に逃げ込んだ。それは我々が地球と呼ぶ惑星である』
 
 ちなみに、後でわかりましたが、人間を奴隷にした理由はサイボーグにはない親指が人間にはあるからと言うもの。親指がないままサイボーグ技術ができるくらい発達したなら、むしろ親指は邪魔な気がするんですがねぇ。
 
 まあ、ご丁寧に解説文をありがとうございます。タイトルの『Future War』まで表示され、さらに『四日前』と表示されます。どうやら、さっきの脱出した宇宙船が地球に来たようです。
 
 さて「炎と共に」という表現はなく、海から主人公が登場。恐らく逃亡した一人の奴隷とは彼です。主人公ではありますが、名前は最後までわからなかった気がします。とりあえず、彼のことを脱走者と呼びます
 そして、機械を付けたオッサンも海岸に登場。中型犬程度の恐竜に鎖を付けて、犬のように従えております。まあ、サイボーグと子分の恐竜といったところでしょう。
 脱走者が街へと逃げます。よくみると、服装はあまり奴隷らしくないです。
 それをサイボーグさんが放った恐竜が追いかけます。そして……あっさり脱走者に掴まれ、恐竜は死にました。証拠隠滅のためか、首輪が爆発。死体は蒸発します。
 
 段ボール(たぶん空)が山積みの倉庫に逃げ込んだ脱走者。どこにこんな場所があるんでしょ? ってくらいの段ボール製迷路です。
 追ってきたサイボーグ。さっそく格闘になります。
 サイボーグさんは腕に銃らしき物を付けてますが、何故か使いません。一方、脱走者にはカンフーらしい動きがありません。きっと未来カンフーなのでしょう。 
 なんとか距離を取る脱走者、再び段ボール迷路でかくれんぼ。
 隙を突き、雄叫びと共に段ボールを投げつける脱走者ですが、明らかに空箱です。空箱は軽く弾かれ、脱走者はサイボーグに投げられ、何処かの倉庫に入ります。ここも段ボールだらけ。
 そこでまた格闘。未来カンフー(?)を駆使し、とりあえず、サイボーグを段ボールの中に蹴り飛ばし、再び逃亡する脱走者。
 
 そして、何故か倉庫の中をうろつきます。そこで巨大(と言っても、象くらい)恐竜と遭遇します。
 危うし脱走者! と思ったら、偶然落ちてたナイフを広い「えぇい!」と言いながら一振りすると恐竜即死。なにこれ。
 
 で、更に逃亡する中で、車と遭遇。ぶつかったのかは知らないが、くるくる回って頭を打ち、気絶してしまいました。
 運転手は修道女風の女。「誰か来て!」と叫びますが誰もいません。
 知り合い家まで行って助けを呼ぶと、さっきまで昼だったのに、夜になってます。この手の映画によくあることですが、時間がいい加減です。
 というか、車で人を轢いたのなら、知り合いの家じゃなくて、病院に連れて行ってあげましょうよ。せめて、自分の家にすればいいのに、なんで他人を巻き込みますか?
 
 知り合い宅では、フレッドという大柄の男が登場。どうやら、修道女風の女はアンという名前です。見た目からして、この2人と気絶した男が最初に出て来た3人組のようです。
 フレッドはオスカーという男を呼び、逃亡者の面倒を見ます。
 こいつらも、なんで病院に連れて行かないんですかね。
 
 一方、街では警察が熊(真犯人は恐竜)に襲われた死体や、焼け焦げた後(恐竜が爆発した際のもの)で騒いでいます。時間が前後しているのか、その風景は昼です。
 
 フレッドの家では、脱走者の面倒も見ずに、食事したり煙草ふかしたり、世間話をしたり好き勝手な状態。何とも適当な対応です。
 
 翌日、フレッドやらアンやらが会話しようとするが上手くいきません。なんとか脱走者と話そうとする過程で、逃亡者は喉を痛めているので喋れないと判断します。
 で、身振り手振りで意思疎通を行いますが、何故か出身地だけ聞き出そうとして、それ以上のことはしません。
 夜になり、恐竜登場。脱走者はアンと一緒に家から逃げます。
  
 外に出ると、家の中から外を見たときよりずいぶん明るいです。何故でしょう?
 アンのナレーションが入り、脱走者は英語を理解できたけど、発音が難しかったので、声帯を慣らすまで喋れなかったと解説します。
 
 それから、何故かワラを運ぶ貨物列車の中っぽい場所に隠れる2人。何となく撮影して無理に使いましたって感じがします。
 そこで脱走者が自分の境遇を話します。一応本編の内容と関係があることです。一方、アンの方も境遇を話します。こっちはハッキリ言って、どうでもいいような内容です。
 
 2人は電車から降り、道を歩いています。既に夜が明け始めているようです
 この後、アンが電話を掛けているのですが、現在使われていない番号に電話してます。どこに電話したのかは最後まで不明です。
 そして、それ以上に、朝焼けの風景が一転して真っ暗になったことが気になります。
 
 今度こそ朝になり、白髪のオッサンが恐竜に襲われるシーン「うわーあ」と言う声から全く恐怖感が感じられません
 警察はまだ熊が暴れていると思って調査を行っています。傷跡から判断とかって無理なんでしょうか?
 
 突如現われたパトカーに連れて行かれる脱走者とアン。これ、本当に突然なんです。理由不明。しかも、連れて行く必要性もほとんど感じられません。
 
 で、街の倉庫に恐竜が現われたようで、市民から警察に助けを求める電話が来ます。
 銃を持った警察官が倉庫に侵入。何故か、さっき連行されたアンと脱走者も一緒だったりする。
 先に入った警官の死体を発見。大分酷い死体です。安っぽさが
 そして、恐竜出現。さっきまで熊だと思っていた警官は何故か驚いていません。まさか、熊とは恐竜の隠語だったのでしょうか?
 銃で撃とうとしますが「やつの背後にも警官がいる」ということで撃てません。何故そんな立ち位置で戦っているのでしょう? さっきまで固まって行動してたのに。というか、恐竜の頭を狙えば人には当たりませんよ?
 しかし、警官達は銃を撃ちません。そこで脱走者がナイフを持って恐竜に挑みます。
 ヤツの弱点は喉だ! と言うことで、そこをめがけて攻撃しますが、見た感じ、下顎をちょこっと切って、頬に向かってパンチしただけ。しかし、恐竜は即死します。
 
 無事、恐竜を退治した警察一行。しかし、どうやら街では大量の恐竜が暴れているようです。
 恐竜について説明する脱走者。すると、何故か脱走者を逮捕する警察官。こいつら、会話が噛合ってねぇ。
 
 逮捕され、牢獄の中で何故かカンフー(?)を披露し始める脱走者。制作者もカンフー的な何かを入れないとまずいと思ったのでしょうか? しかし、シナリオ上意味なかったらしく。脱走者は満足すると、寝てしまいます。
 
 アンは警察に相手にされなかったので、仲間を集め、恐竜狩りを決意します。
 
 脱走者に話が戻り、取り調べ。国防省の命令で、偉そうな人が警察官に代わって取り調べを行います。
 その際に、脱走者に発信器が埋め込まれていたことが発覚。じゃあ、なんで冒頭以外で襲われることがなかったんでしょう?
 で、そう思っていると、発信器を頼りにサイボーグと恐竜出現、警察官が戦います。
 何故か、次々に負ける武装した警官達。一方、鉄パイプ一本で恐竜とサイボーグを倒してしまう脱走者。混乱に乗じて脱走者は留置所(?)から逃亡します。
 
 その後、脱走者はアンと合流。恐竜の居場所を突き止めたり、武器を調達したり。その課程にも色々とツッコミどころはあるのですが、その辺はもう面倒なので無視します。
 
 武器を集め、恐竜のアジトへ乗り込むぞー! という展開になりました。ちなみに、既に近隣の住民は壊滅的だそうです。ちゃんと働け米軍!
 
 さて、アジトへ入る前、入り口に時限爆弾をセット。どうせ、脱出を盛り上げるためなのでしょうが、シナリオ上では時限爆弾を仕掛ける理由がわかりません。
 で、9人くらいで潜入。途中、何故か戦力を6対3にし、これで冒頭のシーンへつながります。ただし、冒頭にはなかったシーンも少し入り、恐竜用の罠を仕掛けたり、一端集合して作戦会議したりします。
 
 で、冒頭の恐竜が追っかけてくるシーンの続き。意味もなく「俺はここで時間を稼ぐ」と言って恐竜にやられたり、それに対して悲鳴をあげてたと思ったら、恐竜を罠にかけて大喜びしたり。なかなかに絶妙な心理描写。俺にはまねできません。
 あとちょっとで出口なんですが、そこにサイボーグ出現。どうやって発信器もなしで脱走者御一行を発見したんですかね。
 時限爆弾の残り時間が少なくなり、ご一行様が脱出。ギリギリで生還します。まあ、緊張感も何もあったもんじゃないですけど。
 
 こうして、事件が解決し、アンは正式に(?)修道女になるための通過儀礼のようなものをしていました……が、そこで、サイボーグが再び出現。もう終わらせてください。
 やたらとしょぼい教会の中は、あっという間にサイボーグ対エセカンフーとなります。
 銃器のようなものを装着したサイボーグですが、やはり脱走者には使わず、肉弾戦が繰り広げられます。きっと武闘家として正々堂々の勝負を望んでるのでしょうね。
 しかし、エセカンフーは恐竜とかが付けられていた爆弾付きの首輪を利用し、サイボーグは爆殺されてしまいました
 
 その後、脱走者さんはリハビリ・センターの新しいカウンセラーになったそうです。
 
 
 
 期待通り、カンフーVS.巨大恐竜という内容ではなかったし、その他の設定も何とも微妙な感じ。これでこそB級映画としてレンタルした甲斐があったというもの。
 まあ、ハッキリ言って、B級映画であることを楽しむ以上の喜びはこの作品の中にありません。だいたいの話の流れはわかりますが、細かい物事の流れは行き当たりばったりって感じだし。
 この映画を観て、カンフーとは何かを学ばないように注意が必要です。