プラン9・フロム・アウタースペース

プラン9・フロム・アウター・スペース 新訳版 [DVD]

プラン9・フロム・アウター・スペース 新訳版 [DVD]

【時間】約78分
【監督】エド・ウッド
【製作年】1956年
【ジャンル】史上最低の宇宙人との戦争
 
◆勝手な5段階評価◆
【B級度】4
【ネタ度】4
【ツッコミ度】4
【オススメ度】1
【理解不能度】3
 
【注意】ネタバレ含みます
 
 史上最低と名高いエド・ウッドの自信作ですが、映画の上映権に買い手がつかず、結局テレビ局に安く買われ、深夜枠で何度も放送されるという結果になった、史上最低と名高い作品。
 しかし、そのおかげで一部でカルト的な人気を誇っております。
 ちなみに、映像は白黒です。
 
 では、ここから本編の解説。
 
 
 
 怪しい男による作品解説によって映画開始。解説の内容は誇大広告。エド・ウッドらしい始まりかたです。
 で、オープニングが流れて、葬式のシーン。これは特に問題なく終わります。ただし、撮影に使った墓石は段ボール製だそうです。
 
 シーンが切り替わり、同時刻の別の場所。椅子とカーテンしかない質素(?)な飛行機の操縦室で、パイロットがUFOを発見します。
 ちなみにこのUFO、円盤の形状なのに何故か「葉巻型」と呼ばれます。「灰皿」の間違いでしょうか? しかも、UFOつってる糸が見えちゃってます。
 
 またシーンが切り替わって、墓場。葬式の後、作業していた人たちが謎の女に遭遇し、悲鳴を上げます。UFOと関係あるのでしょうか?
しかも、さっきまで明るかったのに、気付けば空は夜になってます。
 
 更に別のシーンへ。空は明るいです。
 妻を亡くした爺さんが登場。多分、さっきの葬式はこの人の妻のものでしょう。
 爺さんについてだらだらとナレーションが解説するだけのシーンが流れます。非常に説明臭い。
 
 で、墓のシーンに移る。どうも、墓の一部は常に夜のようです。時間にかかわらず空が暗いです。
 墓を歩いていた人たちが、謎の女に襲われたとおぼしき墓で作業していた人たちを見つけます。
 
 どうやったのかは知りませんが、直ぐさま警察に連絡がいきます。
 警察の登場シーンは夜、墓場近くに到着したときは昼、現場に辿り着いたときは夜です。時間の流れを超越しています。もう、昼、夜の変化は気にしないことにします。
 
 シーンが変り、UFOを見たパイロットが自宅にいるシーン。妻と思われる女生と一緒です。
 どうやら、UFOについて軍から口外が禁止されたそうです。
 それに憤っていると、UFO登場。何故か家の中の家具が吹っ飛ばされ、人も倒れます。そのわりに何故か窓やドアは無事です欠陥住宅が傾いたのでしょうかね。
 
 UFOは墓場近くに着陸したようで、場面もそっちに変ります。
 UFOが降りた方に向かう警察官。前にも出た謎の女と、新手の吸血鬼風の男に襲われ、発砲しますが殺されてしまいます。
 そこに駆けつけた他の警察官。遺体を見て「死体はメチャメチャです」と言うが、映像は死んでいるかすら疑わしい。ただ倒れてるだけじゃん。
 
 その後、どうやら全国的にUFOが目撃され、新聞で発表されます。更に、飛び回るUFOの映像が下手な合成で表現されます。
 
 これに対し、米軍が攻撃を開始。いやあ、敵かもイマイチわからない相手にとりあえずで攻撃するあたり、アメリカの映画らしいですね。とくに宇宙人には容赦ない。
 ミサイルを撃つシーンだけはどこかの映像を借りたのか、よくできてます。ただし、当然ながら武器を使うシーンはいい映像でも、UFOの辺りで爆発するシーンは大変チープな仕上がりです。
 
 謎の基地で作戦会議です。あまりに安っぽく、普通に人間が歩いているので、気付きませんでしたが、宇宙人達の基地のようで、変な服の人間は、宇宙人らしいです。
 そして、宇宙人の戦慄の計画が明かされます。それは……
 
 死んだ人間に電極を埋めて操ったら、人間どもがビビって降伏するんじゃね!?
 
 ……と、言うもの。なんともお粗末な計画。どうやらこれが『プラン9』だそうです。
 恐らくは、墓場で警察を襲ったのはこの計画で操られた死体でしょうねえ。
 
 その後も、安っぽいセットのシーンや、どう考えても同じ家を使い回してるシーン。背景が黒一色なシーンなどが色々出ますが、面倒なので省きます。まあ、パイロットの操縦室が椅子とカーテン程度という時点でこんなもんだとは覚悟してました。
 
 冒頭で妻を亡くした爺さんはいつの間にか死んでて、宇宙人に操られた模様。 操る際に雷の電流を利用したそうですが、死体に電気で動かすって『フランケンシュタインの怪物』が元ネタですよね? たぶん。
 
 で、どこかの家に侵入して、女性を襲う爺さん。女性は何故か例の墓場へ逃げ込みます
 そこでやられるのでは? と思っていたが、なかなか逃げ回ります。
 すると、墓の一つからドデカい男が出て来ます。どうやら、こいつも操られた死体です。
 
 逃げ続けた女性は墓から脱出します。そして、何故か、草むらでこけて気を失います。
 そこに、都合よく通りかかった車が一台。運転手の男が助け出しました。
 
 その後、再び墓場にやって来た警察達。どうやら、さっき逃げ回っていた女性が通報したっぽいです。
 
 とても不思議なことが起こります。警察官の声が突如小さくなり、それっきりシーンが切り替わるまで小さいままです。何を狙った演出でしょうか? 理解に苦しみます。
 
 軍人の会議シーン(?)です。作戦会議はたった二人で行ってます。どうやら、宇宙人側からメッセージが送られてきたようです
 言語は『言語コンピュータ』とかいうので翻訳されて流されます。
 
 宇宙人側からのメッセージでは、どうやら地球人との友好関係を結びたいが、米軍から先制攻撃を受けたので、このままでは戦わざるを得ないとのことです。
 
 これに対し、やはり米軍は徹底抗戦をする態度のようです。
 
 で、内容がさっぱり理解できないまま、軍人やら警官やらパイロットやらが会議したりしてUFOの対策をしています。そこに、操られた死体が一体登場。これだけで全員ピンチ!
 そこで、どこからともなく放たれた光線。死体は白骨化しました。意味わかりません。
 
 結局、墓場のあたりを軍人だの警官だのパイロットだのが調査します。ワンパターンな展開の上、同じような場所しか出ないのが凄い。
 怪しい発光現象を目撃し、そこへ向かうと、宇宙人の地球基地を発見します。というか、今まで見つからなかったあたり、宇宙テクノロジー恐るべしといったところか。
 
 宇宙人と対峙する軍人、警官、パイロットの3人。驚くべきことに『言語コンピュータ』で翻訳しないと理解できないはずの宇宙語を理解して、宇宙人と会話してます。あの設定は何だったのでしょう?
 宇宙人を脅そうとするが、パイロットの妻が大男の死体に捕まってしまったようで、手出しができません
 そこで、宇宙人が地球人を説得にかかり、ようやく、宇宙人の真の目的が明かされます。唐突に。
 
 どうやら、このまま地球人の科学力が進化すると『ソーラ爆弾』を作り出すそうです。
 『ソーラ爆弾』とは、太陽の光を使った爆弾で、太陽の光が届く範囲が全て吹っ飛ぶそうです。
 それを阻止するために、友好的に接近したが、先制攻撃を受けたので、仕方なく死体を操って人間を脅かしたとのこと。
 
 ま、当時の兵器開発の競争を批判した内容なのでしょうが、そんな意見に聞く耳持つような人間なら、もっと穏便にことを運びます。宇宙人に先制攻撃を行うような軍人達は、そんなの無視します。
 都合よくやってきた警察官がパイロットの妻を救助すると、あっという間に乱闘となります。その際にわかったのですが、明らかに建物の形状をしていた宇宙人の基地は、実は円盤の形をしたUFOだったようです。これは変形したと解釈すべきでしょうか?
 潜入してた3人は逃げだし、UFOは乱闘騒ぎで炎上。空中爆発します。
 こうして、友好的にやって来たようにもとれる宇宙人を爆死させ、物語は終了
 最後のシーンで最初に出て来た解説者の人が出て来ますが、ソーラ爆弾によって人類滅亡の危機については一切触れられません核兵器批判はどこ行った? これは宇宙人のでっちあげだったと理解すべきなのか?
 
 
 
 と、まあ、こんな感じの映画です。いったいどの辺が面白いのかよくわからないし、冒頭の解説者が言っていたような『恐怖の事件』というのが何なのかさっぱり不明です。
 映画製作がよほど面倒だったのか、同じ場所のシーンは一度に撮影してるっぽいので、昼夜がしょっちゅうひっくり返るし、キャラクターに魅力も感じないし(というか、主人公誰よ?)。
 何というか、結局のところ、宇宙人がやって来たが、暴力的な米軍によって一方的に殺害された話としか言えない
 まあ、史上最低の映画として、存在意義はあるのだろう。